本稿を書いている時点で、宝塚記念の結末はわかっていない。勝負事、とりわけ競馬について予断を持って語るのは的外れに終わる危険に満ちているものだが、ディープインパクト(牡4歳、栗東・池江泰郎厩舎)だけは例外、と信じている。大きなアクシデントが発生する以外に敗戦はあり得ず、5つめのG?奪取を易々と達成したものとして以降の筆を進めさせてもらうことにする。
次の目標は、名実ともに世界最高峰のレースとして知られている、凱旋門賞(10月1日、フランス・ロンシャン競馬場、芝2400m、GI)だ。この動向はすでに世界中のホースマンの知るところとなっており、「欧州と米国以外で調教された馬としては、史上最強」と地元のメディアが早くも警戒を呼びかけているほど。また、ヨーロッパではブックメーカーと呼ばれる各国政府公認の賭け屋が馬券を発売するのが主流で、大きなレースともなると何カ月も前から発売者側が想定メンバーとオッズを設定して客の興味を引く。英国の大手、Coral社が作ったそれには、18頭の出走予定馬のなかに当然のようにディープインパクトが入っており、しかも3番人気という高評価。昨年、3歳で凱旋門賞を制し、今年もGIを7馬身差で勝つ強い競馬を見せているハリケーンランが1番人気で、ブリーダーズカップ・ターフの覇者シロッコが2番人気というから、十分に光栄ではないか。少なくとも、まだ渡欧もしていない段階で馬券的な評価をされた日本の馬は、かつていなかったと思う。6月19日時点での単勝は8倍(購入した時点での確定倍率。出走しなくても外れとみなされるルール)、宝塚記念の勝ち方で、さらに倍率が下がることが予想される。ちなみに、インターネットなどを利用して日本から購入するのは違法だそうで、どうしてもという方は現地まで行って買うしかない。それにしても8倍というのは、日本人なら思わず手が出る好配当ではある。
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています