優美でダイナミックな技、稀なる美貌、漂う気品。'64年、東京五輪の体操個人総合、平均台、跳馬で金メダルを獲得したベラ・チャスラフスカの演技は日本中を魅了し、大旋風を巻き起こした。
「当時、僕は高校生でしたが、テレビで見た美しい姿は脳裏に焼きついています。ただ、その時点では彼女がここまで波乱に富んだ人生を送ることになるなんて考えてもみませんでしたが」
それから4年後の'68年夏。彼女の祖国チェコを揺るがす事件が発生する。ソ連を中心としたワルシャワ条約機構軍の侵攻――この年初めにチェコ共産党第一書記に就任したドゥプチェクを中心に推し進められた「プラハの春」と呼ばれた自由化政策に対し、クレムリンが強攻策に出たのである。
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