メッシの投稿がインスタ史上最多のいいねを集めたように、フットボーラーの一挙一動はSNSでも注目の的。華麗な技巧を披露する小野の動画にも世界中が反応する。撮影担当のスタッフがその裏側を明かした。
その足でボールに触れると、すべてのプレーが“いいね”に変わる。ギリシャ神話には触れるものすべてを黄金に変える王様がいたが、小野伸二というフットボーラーもひょっとしたらそうした類の存在なのだろうか。
「最近の言葉でいうと、バズってるという状態ですね」
魔法のようなバズり力を実感しているのが、'20年から北海道コンサドーレ札幌のチーム付き広報を務めている石崎拓也さんだ。たくさんある仕事のひとつが、選手のインタビュー動画や練習風景の写真をSNSに投稿すること。なかでも小野のプレー動画はひときわ人気の高いコンテンツになっている。
「練習が軽めの日だと、伸二さんは終わってから他の選手とよくロングボールを蹴っているんです。あのときも、それほど深く考えてカメラを向けていたわけではないんですが……」
石崎さんが振り返ったのは、昨年9月にチームの公式ツイッターにアップした12秒の動画のことだ。
宮の沢の練習場でパートナーとロングボールを蹴り合う小野。蹴り返されたボールが届こうかという瞬間、くるりと反転して後ろを向くと、あさっての方向を見たまま左足の裏でトラップを決めた。いや、トラップしたというより小野の足元にボールが吸い込まれたような、逆再生の映像を見ているような、不自然にスムーズな動きだった。いたずらっぽい笑みを浮かべながら、撮った? 撮った? とカメラの方を指差した小野は、また何事もなかったかのようにボールを蹴り返す。
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photograph by 3rdeye(Illustration)