「歴史ははじめからそうなっているのだから」と言わんばかりの勝ち方をしてみせたのが、天皇賞(4月30日、京都、芝3200m、GI)のディープインパクトだった。
急な下り坂が罠のようにしつらえてあるのが淀の3コーナー。あそこからスパートしたらゴール前で必ずバッタリ止まってしまうから、と先人たちが口を酸っぱくして言い伝えてきたわけだが、不世出のスーパーホースにその常識は通用しなかった。たしかに、直線の中ほどではリンカーンが勇躍差を詰めてきたようにも見えたが、その直後には逆に突き放して差を広げた。16ハロンの長丁場で、上がりの3ハロンが33秒5というのだから、止まるどころの騒ぎではない。終わってみれば、3馬身半差2着のリンカーンもレコードタイムを更新していた。横山典弘騎手が両手をオーバーに広げながら「生まれてきた時代が悪かったとしか、慰める言葉がない」と嘆いたセリフが、全てを言い表している。
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photograph by Kiichi Yamamoto