今年のF1マシンは、サーキットで“ダンス”を踊っているかのようだ。左足でブレーキペダルを踏み付け、シフトダウンするときには後輪タイヤがロックしかかって、不安定な挙動を示す。コーナーを抜け、右足でアクセルペダルを踏み込んでいくときにも後輪タイヤがホイールスピンしかかって、滑りやすくなる。とにかくリアがふらふらと落ち着かないのだ。
それでもスピードレベルそのものは昨年と同じかやや速い。つまりドライバーたちは、減速、加速を繰り返すたびに神経を尖らせて挙動の変化に反応し、適切な修正操作を瞬時に行わねば、スピンするかタイムロスするか、いずれにしろ敗れていく。難しいというかとてもデリケートになったドライビング。レースにおける人間の比重が一段と高まった。
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photograph by Hiroshi Kaneko