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「優勝以外は失敗というか…」打者一本でWBCに挑んだ大谷翔平が敗れてもなお世界に衝撃を与えた理由「いいピッチャーが勝つ確率が高いのが野球です」《WBCドキュメント》

2026/03/27
二刀流ではなく、打者一本で世界一に挑んだ。バッターだけで、どこまでチームを牽引できるのか。大会を通じ、そのプレーから見えてきたのは投手のときと変わらない能動的な姿勢だった。(原題:[WBCドキュメント]大谷翔平「敗れてもなお」)

 2月26日、大谷翔平が名古屋で日本代表に合流したとき、キャッチャーの中村悠平は開口一番、こう言って大谷を出迎えた。

「スイーパー、捕れますよ!」

 すると大谷は、こう即答する。

「いや、今年はお役御免なんで……(笑)」

 3年前のWBC、アメリカとの決勝戦で大谷とバッテリーを組んでいたのが中村だった。しかし中村はあの時点で一度も大谷の球を受けたことがなかった。試合だけでなくブルペンでも大谷の投げる球を捕ったことがなかったのだ。WBCの決勝で1点差の9回表、グラブで口元を隠した大谷は中村に「大丈夫ですよねー」と言った。そのときの意図を大谷はこう説明している。

「今、思えば中村さんに失礼だったと思うんですけど(笑)、日本には90マイルで大きく曲がるスイーパーを投げるピッチャーがいないと聞いていたので、単純に中村さんが捕れるかなと確認したくて……」

 3年も経って、まさかの大谷の意図を聞かされた中村はやけに嬉しそうだった。

「確かにそうやって訊かれました。だから『だ、だ、大丈夫』みたいな感じで答えて……そうか、オレ、試されてたんだ(笑)」

 だから『スイーパー、捕れますよ』が“世界一バッテリー”の3年ぶりの再会を和ませるネタとなったのだ。しかし大谷は今回のWBCでは登板予定がないことを踏まえて「お役御免」と中村に伝えた。大谷はピッチャー回避についてこう話している。

「今回はバッターだけでもいいというスタンスで(日本代表に)招集してもらったので、ピッチャーとしてどうするかというところはギリギリまで決めないパターンもあるかもしれません。もし両方やって、ということだったら、出場を決めるまでにもう少し時間がかかっていたと思います」

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photograph by Yukihito Taguchi

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