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「巨人の選手育成の難しさは待ってくれないこと」原辰徳が明かす“ドラフトだけでは完成しない”常勝球団の作り方「ドラフト、補強、育成が計画的に機能していないと…」

2025/10/25
高くジャンプするためには、深くしゃがまなければならない――。若手育成のため、目の前の負けがある程度許容されることも、チームによってはあり得る。だが、全てのシーズンで優勝を求められる巨人では話は別。そんな名門球団で黄金期を築いた男のドラフト哲学とは。(原題:[特別インタビュー]原辰徳「ドラフトだけでは完成しない」)

 野球界では「選手は3年続けて結果を残したら本物」と言われる。

 最初の1年はフロックもある。2年目には少しの幸運に恵まれて、実力以上の力を出せるかもしれない。それでもそんなフロックや幸運も3年は続きはしない。だから3年間、継続して結果を残せば、それを本当の実力と思い、自分の力を信じても良い。

 この言葉はある意味、チームにも言えるのかもしれない。

 例えば、今年の巨人である。菅野智之がメジャーリーグに移籍し、戸郷翔征がスランプで勝てなかった。そして岡本和真がケガで長期離脱して連覇はならなかった。本当のチーム力が充実していない。だからそういうアクシデントを乗り越えて、勝ち続けることはできないのだ。

 連覇は難しい。ましてや3年続けて勝ち続けるとなると至難の業である。2000年以降のセ、パ両リーグで、3連覇したチームは3つしかない。'16年から'18年の広島。'21年から'23年のオリックス。そして'07年から'09年、'12年から'14年と2度、達成しているのが巨人だった。'07年から'14年の8年間で6度のリーグ優勝というのは、チームとしての成熟、本当の強さがなければできないことだった。

生え抜き組の山口鉄也(右)と西村健太朗(左)、杉内俊哉(中)ら補強組が融合した黄金期 Hideki Sugiyama
生え抜き組の山口鉄也(右)と西村健太朗(左)、杉内俊哉(中)ら補強組が融合した黄金期 Hideki Sugiyama

「当然ですがチームというのは、ドラフトと外国人選手も含めた補強という2つの柱からできています。ただ、ドラフトには即戦力として指名する選手と、時間をかけて二軍から鍛えて育て上げていく選手の2つの道がある。補強と合わせてこの3方向から入ってきた選手が、三位一体となったチームが出来上がったとき、本当に強いチームが作れるということです」

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photograph by SANKEI SHIMBUN

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