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「もちろん、今でも怖さはあるよ」森下翔太、優勝を引き寄せた“2つのビッグプレー”を本人、コーチと徹底検証「塁上でも嫌がられる選手になりたい」
スピンの効いたゴロが遊撃正面に転がった。トン、トン、トーン。3バウンド目が黒土の上で大きく跳ねた瞬間を、二塁走者の森下翔太は見逃さなかった。
目線をチラリと右に動かした。
イレギュラーバウンドした打球は巨人の遊撃手・泉口友汰の左胸で弾み、二塁方向に向きを変えてフワリと浮いていた。
「流れや展開を考えても1点で試合が決まるゲーム。ワンチャンス、もうここしかないって、とっさに感じ取ったので」
24歳の若虎はトップスピードを緩めることなく三塁ベースを蹴った。
7月2日の甲子園。「伝統の一戦」は0-0のまま最終盤を迎えていた。8回裏2死一、二塁。5番・大山悠輔の痛烈なゴロが遊撃手を強襲すると、三塁コーチの田中秀太は迷わず右手を回した。
「ゲームが動いていない中での8回2死。もともと少々アウト気味でも回すつもりではいました。ただね……僕はてっきり泉口がボールを捕ると思っていたんです」
あの場面、内野守備走塁コーチの肩書を持つ田中には誤算があった。
大山が打席に入った時、巨人内野陣は極端なシフトを敷いていた。泉口が三遊間、二塁手・吉川尚輝は二塁ベース後方に移動していた。泉口の体に当たった打球は2人の中間地点に落ちた。遊撃手が体の左側にボールを捕りにいけば、送球体勢を整えるまでに時間を稼げる。そんな見立てで手を回したのに、吉川が忍者のようにスルスルと駆け寄りボールを拾い上げたのだ。

「吉川の動きが想像以上に速くてね。あの時は森下に助けられました」
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