夢か現か幻か。日本サッカーの最高峰、J1リーグへの昇格をめぐる苛烈な争いにおいて、にわかには信じ難い出来事が起きている。思いもよらない伏兵がJ2リーグの首位を突っ走っていることだ。
水戸ホーリーホックである。
J2の番人。長きにわたって、そう呼ばれてきた。クラブの創設は1994年であり、JFL(日本フットボールリーグ)からJ2に昇格したのが2000年のことだった。それから四半世紀が経った現在もなお、J2で戦い続けている。
思えば、'00年のJ2リーグは水戸を含む計11クラブで争われた。その中で、いまだJ1で戦った経験がないのは水戸だけだ。過去の戦績を振り返っても最高順位は7位に過ぎず、優勝争いはおろか、昇格プレーオフ圏内に食い込んだ実績すらない。
先日、チャットGPTに《水戸と聞いて思い浮かぶ言葉は何か》と尋ねると、1位が水戸黄門、4位が納豆、5位が日本三名園の一つでもある偕楽園とのこと。そして、肝心のホーリーホックはと言えば、水戸のシンボルタワーとして定着した水戸芸術館に続く18位に留まった。
いや、彼らに足りないのは実績や知名度ばかりではない。チームの強化、人的リソースの充実に不可欠とも言うべき資金力にも限りがあった。実際、西村卓朗ゼネラルマネジャー(以下、GM)によると、今季の人件費は「今夏の移籍市場で使った分を含めても、ざっと2億5000万円」という。実力派の外国籍選手を2人も獲得すれば、すぐに底を突きそうな額である。
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