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《2022年 大阪桐蔭-下関国際》「まだ流れはうちにある」絶対王者を沈めた‟トリプルプレー”と‟逆転打”の真相「真っすぐが来る、と直感して…」【令和名勝負プレイバック②】

2025/08/29
7回のトリプルプレーの起点となった仲井。最後のバッターを三振に捻じ伏せ、仲間たちと喜びを分かち合った
試合の分岐点となった三重殺と9回の劇的な逆転適時打。3年前、夏の甲子園で大番狂わせを起こした下関国際は、無類の強さを誇る絶対王者・大阪桐蔭との一戦に向けて、用意周到に準備していたのだ。しかも、春の段階から――。(原題:令和名勝負プレイバック(II)2022 大阪桐蔭-下関国際「万全の絶対王者対策」)

 強い者が勝つわけではなく、勝った者が強い――。横浜DeNAベイスターズの捕手・松尾汐恩は、高3の夏の甲子園でそれを痛感した。冷静な面持ちだが、感情を込めた口調で松尾が振り返る。

「僕の野球人生で、こんなに悔しいことがあるんかってぐらいの経験でした。ある意味、自分を変えてくれたというか、どんな状況であれ、勝たなければいけないと、負けず嫌いな気持ちがあの試合でより一層強くなりましたね」

 プロ3年目、あの日の出来事が今を戦うエネルギーになっている。

 2022年8月18日、松尾が所属する大阪桐蔭は、準々決勝で姿を消した。秋の神宮大会優勝を皮切りに、春のセンバツを圧倒的な強さで制した絶対王者が、夏の甲子園出場3回、最高成績はベスト8('18年)の下関国際に4-5で敗れた。

 3度目の春夏連覇を期待されていた大阪桐蔭は、戦う前から相手を萎縮させるような精鋭揃いであり、その存在感は他校より抜きん出ていた。だが下関国際ナインは、誰一人として臆することはなかった。

 遊撃手兼投手の仲井慎は、試合前の様子を次のように証言する。

「僕たちは'18年の先輩たちに憧れて入学した世代でした。なので目標はベスト8越え。実はセンバツの後ぐらいから『優勝した大阪桐蔭をいかに倒すか?』みたいなミーティングを坂原(秀尚)監督の下で重ねていたんです。ベスト8越えを目指すには、準々決勝で大阪桐蔭のような強豪校と当たるはずだという読みでした。だから動画などで大阪桐蔭の試合はよく見ていましたね」

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photograph by Hideki Sugiyama

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