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【大阪桐蔭】西谷浩一が戦う“見えない敵”とは?『勝って当然』の声には「年輪をもっと増やしていけたら」《甲子園最多勝監督の思考》

2024/08/08
今春、甲子園通算勝利数で歴代1位となった。2度の春夏連覇を含む、9度の優勝を誇る。近年は強すぎるがゆえに、苦悩する姿もあった。高校球界最強チームを率いる監督の手腕とは。(原題:[最多勝利監督]西谷浩一(大阪桐蔭)「見えない敵との戦い」)

「毎日毎日、日本一ということを子どもたちと話しながらやってきました。ただ、先を見て勝てるほど、大阪は甘くないですので、今日、大阪の代表にならせていただいて、本気の本気で日本一を目指したいと思います」

 7月28日。試合後の優勝インタビューで、大粒の汗をタオルで拭いながら、大阪桐蔭の西谷浩一監督は「日本一」という言葉を2度も使った。

 東海大大阪仰星との決勝戦は、7回まで3-0とリードするも、8回に1点を返され、相手の追い上げムードになった。だが、この日先発した最速151km右腕、2年生の森陽樹が最終的に15個の三振を奪って相手に流れを渡さず、2年ぶりの夏の大阪の頂点に返り咲いた。

厳しい「夏の大阪」を勝ち抜いて。

 今夏の大阪大会初戦・東高校戦を終えた直後、西谷監督は「何年経っても、夏の大阪を勝ち抜くのは難しいですね。特に初戦。レベルがどうというより、大変さはずっと変わらないです」と口にした。相手投手をなかなか攻め立てられず、序盤は緊迫した展開となった。それでも中盤以降はきっちり得点を重ね、10-0で6回コールド勝ち。次戦の枚方なぎさ戦も、11-0で5回コールド勝ちと圧倒した。

 4回戦でも城東工科に7-0と7回コールド勝ちを収めたものの、5回までは1-0と打線が乗りきれず。5回戦の大商大堺戦でも4回までに5-0とリードしながら、5、6回で1点差まで追い上げられた。

 準決勝・履正社との一戦は、初回に2点を先制されるも、その裏に5点、さらに2回に6点を加える猛攻で、序盤だけで12点を奪って5回コールド勝ち。昨夏の大阪大会決勝で0-3の完封負けを喫した雪辱を果たすとともに、これまで爆発しきれていなかった打線のマグマが噴き出したようにも映った。

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photograph by Hideki Sugiyama

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