#1008
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「もう負けだと…」徳島商業のエース・川上憲伸が降板を直訴した日…チームに起きた異変とは?「過呼吸になるくらい泣いた」《甲子園の号泣伝説》

2026/08/22
1993年8月21日 準々決勝 徳島商 4-11 春日部共栄 4回に4点リードした徳島商だが、5回に同点とされエース川上が降板。6回に逆転した春日部共栄は、結局19安打を記録して大勝した
最後の夏、徳島商業の大黒柱・川上憲伸は、地方大会から死闘につぐ死闘をくぐり抜け、自身初の甲子園へたどり着いた。2回戦では0対7から逆転勝ち、3回戦は2対1の接戦を制して臨んだ準々決勝。背番号1は忘れられない涙を流すことになる。(初出:Number1008号 [最初で最後の降板直訴]川上憲伸「20年後に知った涙の正体」)

 徳島商業のエース、川上憲伸は5回表を終えると、ひとりベンチ裏に姿を消した。そこで鳶色のグラブを地面に叩きつけた。

 1993年の夏、準々決勝・春日部共栄戦でのことである。

「悔しくてね……。この先もう投げられないだろうな、投手としての甲子園は終わってしまったなという気持ちだったから」

 異変が起きたのは前日の3回戦、智弁和歌山戦の後だった。

 強力打線を1点に封じて完投したエースは右手中指の内側にじんわりとした痛みを感じていた。球場から徒歩数分の宿舎、網引旅館に戻って見てみると、水ぶくれの下に血豆ができていた。ズッキンズッキンと脈を打っている。意気上がるチームに水を差したくなかったエースは皆が寝入った頃、薄明かりを頼りに監督の元へ足を運んだ。

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photograph by Katsuro Okazawa

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