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《最終章を見つめて》ラストプログラム『人間の条件』は町田樹の人生そのものだった…氷上の哲学者は「愛するもののために」<アーカイブ記事/2019年>

最後の日から、1カ月と半月あまりが過ぎた。時とともに薄れゆくはずの記憶は、ますます鮮明となり、よみがえってくる。
10月6日、町田樹は、「ジャパン・オープン」で『そこに音楽がある限り』を披露し、続いて行われた「カーニバル・オン・アイス」での演技を最後に、氷上を去った。
プログラムのタイトルは『人間の条件』。
それは、まさにラストにふさわしいプログラムだった。そして町田樹の、まぎれもない集大成だった。
町田は2014年12月、全日本選手権で電撃的に競技生活からの引退を発表。その翌年から大学院でスポーツのマネジメントについて学ぶとともに、プロフィギュアスケーターとして活動してきた。
その年月は、抱えてきた悩みを克服するための時間でもあった。
「現役時代、町田樹-フィギュアスケート≒(ニアリーイコール)ゼロ。そこで葛藤を感じていたわけです」
それはフィギュアスケートが町田のアイデンティティであることを意味していたが、一方で、フィギュアスケートしか知らない自分でいいのか、という懸念と、それでは駄目だという思いがあった。
だからバレエなど他の表現ジャンルを幅広く知り、さらに知見を深く広げようと努め、勉強に勤しんだ。その日々をこのように表現する。
「町田樹-フィギュアスケート=、その先の数字をより大きくしようと努力を積んできました」
研鑽で得られた成果を発表する場が、アイスショーであった。そこでは競技生活では不可能だったプログラムを披露し続けた。
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