衝撃の“現役引退宣言”だった――。
エース羽生結弦を脅かす存在として、期待が高まる中でなぜ幕引きを決めたのか。
ともに戦った師が明かす“引退秘話”。
エース羽生結弦を脅かす存在として、期待が高まる中でなぜ幕引きを決めたのか。
ともに戦った師が明かす“引退秘話”。
「この全日本をもって現役を引退することを本日決断しました」
世界選手権代表選出の挨拶だったはずの時間は、誰の心にもショックを与え、その不在によって空いた穴は埋まっていない。
ただしこの人の受け止め方は違っていた。
「知ったときは、嫁はんと大笑いしました。あの子らしいな、と」
楽しい思い出であるかのように快活に笑ったのは、この2シーズン、町田樹の指導にあたってきた大西勝敬である。そして笑い声のあと、「実は」と切り出した。
長野で行われていた全日本選手権。フリーを経て総合4位にとどまった2014年12月27日から日付が変わり、午前2時過ぎのことだ。大西の部屋を町田が訪ねてきた。
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photograph by Yukihito Taguchi