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「あの時のサファテみたいで」ホークス・濵口遥大が振り返る2度の日本シリーズ、そして横浜への想い「『さよなら』や『ありがとう』も言えなかったから」

2025/04/06
ポストシーズン最終決戦で圧巻の投球を見せ、日本一への流れを呼び込んだドラ1左腕。昨年末の電撃トレードは誰もが驚いた。青のユニフォームを脱いで新天地に立った今、ベイスターズへの思い、若鷹軍団の印象、古巣と戦う交流戦への意気込みを率直に語った。(原題:[いざ新天地へ]濵口遥大「求められた場所で輝きたい」)

 濵口遥大は今季のための試合用グラブを「型は同じですけどカラーが違う」という3つを用意している。青色、ターコイズブルー、エメラルドグリーンの3種だ。

 昨年までは青のユニフォームを着ていたため溶け込んで見えたが、新天地の球団カラーは黄色だ。どのグラブもやけに映える。今年2月1日、春季キャンプ初日のブルペンではエメラルドグリーンを右手に嵌めた。珍しがるホークスの番記者から質問が飛ぶと「派手だねとか変わってるねってよく言われますけど、僕はほかの誰かと同じというのが好きじゃないんです」と照れくさそうに笑っていた。

 移籍一発目のピッチングでそれを選んだのは、喜びの思い出を共にした大切な相棒だったからだろうか。

「去年の日本シリーズでもそのグラブを使いました」

 ベイスターズが日本一を決めた第6戦の横浜スタジアム。濵口はファンの興奮を最高潮に導く名シーンを生み出した。

 4対2でベイスターズがリードしていた5回、2番手で登板すると気迫の力投で鷹打線に立ち向かった。先頭の牧原大成を2球で中飛に片付け、続く甲斐拓也からは全て直球勝負で空振り三振を奪うとセンター方向に向き直って大きく吠えた。そして代打のジーター・ダウンズを三直で3アウト。左手を大きく振ってまた声を張り上げた。それで終わらない。マウンドを下りた濵口はベンチ前まで歩を進めると、大歓声の客席に向かって「もっと来い、もっと」とばかりに両手を三度高々と振り上げてファンを大いに煽ったのだった。

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photograph by Ryoji Hanjo

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