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《独占インタビュー後編》「“ずっと日本人だった”ということ」イチローが語った“数字の先”に見つけた境地とは?「そこがアメリカに感謝する理由」

2025/02/13
殿堂入りを機に独占インタビューに応じたイチロー
歴史的発表の翌日にシアトルの自宅を発ち、殿堂選手としてクーパーズタウンに降り立った。なぜ、細身の身体でメジャーリーグという大きな壁に立ち向かうことができたのか、その極意を明かす。《スペシャルインタビュー後編。前編はこちらからご覧ください》(原題:イチロー「日本人らしさを貫いて」)

MLBにはピラミッドの頂点にいることを忘れないでほしい。

――イチローさんが指導に出向く高校生もしばしばメジャーリーガーのマネをします。チームとしてもデータを積極的に集めるなど、かなりの影響を受けています。そういうことをどう感じていますか。

「データを重視する野球に対しての考えも『イチローの考え方は古い』と思っている人が相当数いると思いますが、正しくは『前に戻ってほしい』ではなくて、『どうしてみんなで同じことをやってるんだ、もっと先へ行けよ』という気持ちなんです。同じことをやっていると、新しいようで古くなってしまうものです。サヨナラヒットを打った人にドリンクを掛ける光景はよく見ますよね? でもね、みんながやり出したらその時点で新しさはなくなる。謎のポーズを決めてどのチームも楽しそうにやっていますが、何もしないほうがクール、という発想はないんですかね。個性を見たいのになぁ……みんな一緒だと安心するんですかね? トレンドのど真ん中にいるのはすでに古い、と感じられたらちょっとは変われるのにね。憧憬の眼差しで子どもたちから見られていることも意識してほしいです」

――昨年でいえば、岐阜高校ではピッチャーの球速を測定して、投げるたびにピッチャーに伝えていました。愛工大名電ではバッティング練習で1球ごとに打球速度や角度を測って、1球ごとに声を出して伝えています。

「高校野球でこのやり方を追求して得られるものって何でしょう? 迷走しているように見えました。施設を案内してもらったとき、選手の能力と現状をデータで管理していて、その数値を追求していくと説明されました。愛工大名電には中学の時点で能力の高い選手が集まってきているはずですが、そこからどれほど伸びているのか。中学生の頃からそんなに成長していないのでは? 選手たちに技術的な質問をしてみると、答えられないことだらけでした。野球にはデータに出ない、目に見えない大事なことがたくさんあります。そこを疎かにして頭を使わずに、データに囚われ過ぎているのがまさしく今のMLBの野球で、高校も含めた日本の野球が影響を受けています。疑問に感じている人もたくさんいると思いますが、声を上げられない、上げても消されてしまう状況があるのではないでしょうか。でも選手に責任はありません。取り組まなければ使ってもらえないのですから、ある意味では犠牲者とも言える。MLBにはピラミッドの頂点にいることを忘れないでほしいんです」

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photograph by Naoya Sanuki

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