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【“40-40”達成は史上最速】大谷翔平が獲得した新たな"盗塁観"…それを象徴した9月のある試合とは?「それなりの企画数で高い成功率のほうが…」

2024/09/26
“40-40”を自身初のサヨナラ満塁弾で決め、インタビュー中に「ウォーターシャワー」を浴びた大谷
8月23日、またひとつ伝説が生まれた。40盗塁を記録していた試合の9回2死満塁、サヨナラ満塁ホームランとなる40号を放った。史上最速で記録を達成できた要因に迫る。(原題:[史上最速の快挙]打者専念で見せた進化)

 太平洋を隔て、遥か遠い異国のメジャーリーグで、マリナーズのイチローが10年連続200本安打の偉業へ向けて快打を重ね続けていた2010年――。

 当時、丸刈り頭だった花巻東高1年の大谷翔平は、81個のマスに区切られた目標設定シートの中心に、最終的な目標として「ドラ1 8球団」と書き込んだ。その周囲のコマには、「はっきりとした目標、目的をもつ」「一喜一憂しない」などの言葉を並べつつ、「スピード160km/h」と具体的な数字も目標に掲げた。3年夏には「160km」をマークし、入学直後の目標のひとつを達成したが、その一方、メジャー志向が知られたこともあり、'12年秋のドラフトで大谷は8球団ではなく、日本ハムから単独で指名された。

 メジャー7年目を迎え、すでにMVPに2回選出されたスーパースターが、今もなお、目標設定シートにペンを走らせているはずはないだろう。ただ、もし、ドジャースへ移籍した今季開幕前、大谷がシートに記入するとすれば、その中心には個人成績などの数字ではなく、迷わず「ワールドシリーズ制覇 世界一」と書き込んだに違いない。8月12日のブリュワーズ戦後には、改めて移籍1年目のスタンスを口にした。

Getty Images
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「今シーズンは、ゴールを特に決めていなくて、本当に1試合1試合を頑張りたいと思っています。初めてのチームで、慣れるところからチームの特徴をつかみながら馴染めればいいと思っているので」

 過去6年、ポストシーズンとは無縁だった大谷にとって、シーズン佳境の緊迫感と、それに伴う個人成績への影響は未知数だった。だからこそ、数字の「ゴール」を設定しようとはしなかった。それでも、開幕から快調に本塁打と盗塁を積み重ね、周囲の期待を遥かに超えるハイペースで、前人未到の領域へ歩を進めてきた。

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photograph by Getty Images

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