#1101
巻頭特集

記事を
ブックマークする

【単独インタビュー】“無敵モード”に入った古賀紗理那「私の目標はメダル一択。見とけよって」《五輪後に引退、すべてを懸ける》

2024/07/28
キャプテンとしてチームを牽引する古賀紗理那
パリ五輪後の電撃引退を発表した28歳のエースは、主将として、時に強い言葉でチームを鼓舞してきた。それは、ただひたすらに強さと勝利を求めてきたから。彼女が抱く最後の目標への熱き想いに迫った。(原題:[キャプテンの本懐]古賀紗理那「私の目標はメダル一択」)

 その夜、古賀紗理那は雄弁に語った。

 約1カ月後にはパリ五輪が開幕する6月29日。本番へ向け最後の国内合宿が行われるナショナルトレーニングセンターに、リザーブメンバーの山岸あかねを含む13人の選手と、眞鍋政義監督以下、全スタッフが集結した。ミーティングの議題は、パリ五輪出場という大きなミッションを成し遂げ、本番の大舞台ではどんな目標を掲げるか。

 まず眞鍋が全体に向け、前回の東京五輪を踏まえて「ベスト8を目指すなら1ステップ、ベスト4なら2ステップ、メダルを目指すならば3ステップ上がらなければならない」と述べる。そのうえで何を目指すか。監督が目標を与えるのではなく、全員をランダムに5つのグループに振り分け、話し合いをスタートさせた。古賀の席には山岸と、強化委員長の中村貴司、ストレングスコーチの木下恒司がいた。

絶対にメダルを獲って、「最高だったね」で終わりたい。

 古賀の中では迷いなどない。むしろ全員が「メダル獲得」と積極的な意見を出すかと思いきや、周囲の反応を気にして、誰が話す? 誰から言う? という沈黙が続く。口火を切ったのは中村強化委員長だった。

「僕は女子バレーボールの強化委員長として、JOCに『メダル獲得が目標です』と伝えているからね」

 それならハッキリ言えばいい。しびれを切らした古賀が、前のめりに話し始めた。

「メダルじゃないんですか? 私の目標はメダル一択。メダルの色は問いません。でも絶対にメダルを獲って、最後に『このチーム、最高だったね』で終わりたくないですか? 私はそのイメージしかないです。メダル獲得って言うのは恥ずかしいですか? 私は全然恥ずかしいことじゃないと思います。たとえ無謀だろ、身の程をわきまえろと世間から言われたとしても関係ないじゃん、って私は思います」

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by FIVB

1

0

0

前記事 次記事