「取材ですか? できれば支度部屋ではなく、部屋のほうに来てください。日程? それは師匠が決めたスケジュールに従いますから、まずは師匠に言っていただけますか?」
丁寧な言葉遣いで対応する阿炎の姿に、いささか驚く。かつての殊勲インタビュー時、テレビカメラに向ってピースサインを見せた天真爛漫なやんちゃぶりが、阿炎の魅力でもあった。思い返せばコロナ禍のもとでの外出が咎められ、出場停止処分を受けたこともあった。
そんな阿炎も、もう30歳。ベテラン関取の領域にいる。
「次こそは」冷静な口調ににじむ静かな闘志。
ちょんまげ頭の新小結・大の里の初優勝に沸いた5月夏場所では、千秋楽に直接対決し、勝てば優勝決定戦の目もあった。しかし、得意の突っ張りを繰り出す間もなく一気に押し出され、黒星を喫してしまう。サバサバした物言いで、あの一戦を振り返った。
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photograph by Takuya Sugiyama