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「モチベーションを切らしたことって一度もない」佐藤悠基が語る37歳の“伸び代”と「自分の甘さ」<独占インタビュー>

2024/03/22
37歳になった佐藤悠基
34歳でニューイヤー駅伝4区区間賞を獲得し、35歳でフルマラソン、36歳でハーフマラソンの自己ベストを更新した佐藤悠基。37歳を迎えて「あと10年走り続けたい」と語る佐藤にこれからのプランニングについて聞いた。発売中のNumberDo 2024「佐藤悠基 あと10年走り続けるために」を特別に転載します。

 2023年9月、佐藤悠基は半月板の手術に臨んだ。36歳(当時)の現役選手にとっては、今後の競技人生を左右しかねない決断。だが、「あと10年走り続けるために」と佐藤は手術を受けることを即断した。

「10年という数字にはこだわっていないし、それが目標ではないのですが、1年ずつ積み重ねていった結果、10年後も続けられていれば幸せだなと思って」

 手術を決めた一方で、この歳になって休養して戻し切れるのか、次のステップに進めるのかという不安や怖さもあった。

「だから少しでも筋力をアップしておきたいと思って、手術前はめちゃくちゃ追い込んで練習しました。それで膝の状態が悪化したとしても、どうせ手術するんだから一緒じゃないですか。医者には言いませんでしたが(笑)」

 術後はほぼ寝たきり。1週間で退院し、翌週は松葉杖で歩き始め、3週目には軽い負荷でバイクを漕ぎ始めた。

「実際に走ってみて、自分が痛くなければ大丈夫だろうと、許可は出ていなかったけど、割と早い時期から走り始めました。もちろん筋トレはしていましたが、走らないと衝撃に対する筋力は戻らないので」

©杉山拓也
©杉山拓也

走れない苦しさより走る苦しさの方が楽。

 徐々にトレーニングを再開できるようになっても、思うように練習が進まない部分もあった。でも練習がどれほど苦しくても、走れない苦しさに比べたら楽だと幸せそうに話す。

「よく『故障期間が大切な時間になった』と言う人がいますが、それは結果を出したから言えることであって、綺麗事ですよ。僕の術後3カ月は本当にただの無駄。考える時間はできましたけど、それを実際に行動に移すことができないのはものすごいストレスで。自分は競技をやめたら、多分早死にするタイプだと今回思いました(笑)」

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photograph by Takuya Sugiyama

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