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《靴の履歴書》有森裕子が語るシューズ遍歴「私の足はかなり特殊で…」銀メダル獲得後の故障→手術も「三村仁司さんがいたからマラソンを続けられた」

2024/03/26
吉實恵=イラスト
初めて買った靴や、レースを共に戦ったシューズなど、ランナーには思い出が詰まったランニングシューズが必ずある。そこで3人のランナーがシューズと共に、自身の競技人生を振り返る。発売中のNumberDo 2024 より「靴の履歴書・有森裕子」を特別にNumberPREMIERへ転載します。

走りのクセやトラブルを救ってくれた別注シューズ。

 これまで走ることを好き嫌いで考えたことはないんですよ。ただ人に評価されるものを何も持っていないという私のコンプレックスを、唯一解消してくれたのがランニングだったんです。

 中学時代はバスケットボール部だったのですが、運動会の800m走で3年連続優勝をして。ただ、それも走るのが得意だったわけではなく、誰もやりたがらない競技だったから、私にチャンスがあるんじゃないかと出場しただけ(笑)。だから中学時代は、走るための靴を買うなんて考えたこともなくて、学校指定のシューズで走っていました。最初に買った競技用のシューズは、オニツカタイガーのバスケットシューズでしたね。

 私が入った高校は、中学から大学までの一貫校で、陸上部のレベルも高かった。だから高校で突然陸上部に入部したいと言っても、全然相手にされなくて。粘り倒して、ようやく仮入部が認められました。ただ、そのときもランニングシューズの知識は皆無。岡山に唯一あったスポーツショップに行って、靴の性能も分からないまま「これが自分らしい」と思って、Kappaのサーモンピンクの靴を買いました。みんなが履いているシューズとも違って個性があるし、見た目も可愛いし、大満足で買って帰ったんですけど、いざ走り始めるとなんだか重いし、足元がパカパカして走りにくい。それでも気にせずに履いていましたね。

 高校1年生のときに、第1回全国都道府県対抗女子駅伝が開催されて、私も補欠に選ばれました。そのとき、アシックスの女性用のマラソンソーティレディスを、なんと補欠を含めて、全員にプレゼントしてくれたんです。「すごい! これタダ!?」ってめちゃくちゃ嬉しくて。で、ソーティを手にしてはじめて、自分が買ったKappaのシューズはバスケットシューズだったことが判明したんです(笑)。

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