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「周囲にどう思われようが気にしない強さがある」ベイスターズ度会隆輝の“有言実行”を形にした鈍感力【恩師が語るドラ1秘話】

2024/03/09
ベイスターズ期待のスーパールーキー度会隆輝
昨秋のドラフト会議、悲願の1位指名を受けて涙した。挫折から這い上がった3年間の成長の日々を、恩師と春季キャンプ中の本人の言葉で振り返る。

「ドラフト1位で必ずプロに行く」

 横浜DeNAベイスターズのルーキーである度会隆輝にとって、この「ドラフト1位」という目標設定こそが、すべての原動力だった。横浜高校3年生のときの2020年ドラフト会議で指名漏れをし、悔し涙に暮れた。度会は大学へは進学をせず、高卒ならば最短3年で指名の権利を得ることができる社会人野球へと進むことになる。

 その思いを度会は、強い口調で述べる。

「1年でも早くプロに行きたい。しかも絶対に1位で行く。高校のときは『プロ野球選手になる』という漠然とした夢だったのですが、指名漏れしたことによって、明確な目標がないと達成できないと感じたんです。だからそれ以来、毎日のように『ドラフト1位で行く』と言い続けてきました」

「1位にこだわる気持ちを忘れんなよ」と発破をかけていた。

 単にプロに行くというだけではなく、あえて高い目標を設定して、度会は有言実行を試みる。入社したのは社会人野球の名門であるENEOS。ここで度会は“恩師”と慕う大久保秀昭監督と出会うことになる。大久保監督は元プロ選手であり、都市対抗野球でENEOSを4度の栄冠に導いた名将だ。誰よりも元気がよく、大きな目標を掲げる18歳の度会と接していく上で、大久保監督が心掛けていたことは何だろうか。

「私としてはドラフト1位だろうが4位だろうが入ってしまえば一緒だと考えているのですが、度会はプロに入ることが目的ではなく、プロで活躍することが目標でした。だから1位を公言することで、自分自身にプレッシャーを掛けていたと思います。これまで接してきた選手で、1位にこだわっていた選手はいませんでした。私としてはその気持ちを忘れんなよ、と。妥協しそうになったり、意欲が感じられないときは『あれ、ドラ1でプロに行きたいんだよな?』と、発破をかけていましたね」

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photograph by Misa Fujii

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