#1092
巻頭特集

記事を
ブックマークする

「1回よかったからって、歩みを止めない」ダルビッシュ有が“数字”の目標を作らない理由…<妥協なきプロ生活20年目>

2024/03/08
日米通算200勝まであと「4」としているダルビッシュ
日本人投手最長のメジャー13年目を迎え、日米通算200勝など数々の快挙に近づいている。記録的なシーズンを前に、春季キャンプの動向を追った。

 パドレスのダルビッシュ有が史上3人目となる日米通算200勝まであと「4」に迫っている。初の日本人メジャー通算2000奪三振にはあと71個。開幕後をスムーズに滑り出せば、この2つの快挙は初夏頃には達成されるだろう。

 しかし2月12日、今キャンプ初のブルペン投球を終えたダルビッシュは、それら金字塔についての問いにほとんど乗ってこなかった。

「怪我していたら達成できないですから、まず健康にシーズンを迎えられるように調整したいと思います。まずは健康を維持すること。それと一日、一日を大事に感謝してやっていくということ」

20年って早いんだな、と。いろんな方に感謝しています。

 メジャー13年目は野茂英雄氏を超え、日本人投手では最長となる。日本ハム時代から数えてプロでのキャリアは20年目。

「いやー、やっぱり早いですよね。20年って早いんだな、と。大人というか、この歳になって実感できるというか……。より一年、一年の大事さを感じてきていますし、何よりもこれだけ長くできるということが特別だと思うので、いろんな方に感謝しています」

Yukihito Taguchi
Yukihito Taguchi

 感慨深げではあるものの、節目への意識や気負いなどは伝わってこない。決意めいた言葉もなく、返ってくるのは肩の力が抜けたコメントばかり。

「200(勝)に関してはけっこう(周りからも)言われます。まあプレッシャーも別に感じないですが、自分の中では何か100勝、150勝とは違うのがあるな、とは思いますが」

 約1年前のWBCでは、日本人メジャーリーガーではただひとり2月半ばの日本代表宮崎合宿から参加。若い代表メンバーたちをよくまとめ、JAPANの精神的な拠り所として貢献した。現在のパドレス内でも三塁手マニー・マチャドと並ぶリーダーと目され、慕う同僚、チームスタッフは多い。そんな日米球界で大きな敬意を集める37歳は、意気込みを聞き出そうとする質問をひょうひょうとかわし続けた。

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Yukihito Taguchi

0

0

0

前記事 次記事