スペインで磨かれた力量は随所で確実に発揮された。だが、念願のチームタイトルにはまたも手が届かなかった。燃え尽きることのできないまま、22歳はカタールに別れを告げた。
腰に手を当ててベンチ前に立ち尽くし、久保建英は厳しい表情でピッチを見つめていた。
イランに押し込まれて終盤は苦しい展開が続いていた日本代表だったが、なんとか延長に持ち込めば突き放せると久保は信じていた。しかし後半アディショナルタイム、延長突入間際に力尽きた。
「相手に蹴ってこられる前に、僕らに試合を決められるチャンスがあった。僕のシュートも右足の精度が足りなかった。攻撃陣は特に反省したい」
試合後のミックスゾーンでは悔しさをかみしめた。
ただ、イラン戦は「今大会で一番のコンディションだった」という自身の言葉通り、神出鬼没なポジショニングと抜群の俊敏性、そこを突くのかと驚かされる狙い目と技術で、勝利の予感を漂わせていたのは久保のプレーだった。
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photograph by Tsutomu Takasu