失礼は承知している。
わたしにとって、遠藤保仁は日本が産んだ最高の才能、ではない。礒貝洋光、菊原志郎、小野伸二、中村俊輔ほどに、期待をしていた選手ではない。
さらにいうなら、わたしにとっての遠藤保仁は、鹿児島実が産んだ最高の才能、というわけでもない。前園真聖や城彰二、そして“遠藤3兄弟”の長兄・拓哉を見たときほどの衝撃は、末っ子からは受けなかった。
にもかかわらず、彼は日本のサッカー選手が誰もやれなかったことをやってのけた。鹿児島実の先輩はもちろん、日本代表の先達さえもたどり着けなかった領域に足を踏み入れ、今なお、道を進み続けている。
なぜ遠藤保仁は、日本代表のキャップを150回も数えることができたのか―。
まず聞きたかったのは、そのことだった。
―正直、遠藤保仁という選手がここまで来るとは思ってませんでした。みんなから期待される才能があって、なのに消えていく選手も珍しくない中、なぜ遠藤選手は代表でこれだけ活躍できるんでしょう。
「なんなんですかね(笑)。注目されなかったのがよかったのかな、とは思いますよ。僕の場合、周りに錚々たる顔ぶれが揃っていたんで、その陰でコソコソやれましたから」
―若いうちから注目されたりチヤホヤされたりするのはよくない?
「ま、その選手の態度次第だとは思うんですよ。注目されるのも、それ自体は悪いことじゃない。でも、チヤホヤされることで自分の立ち位置を見失っちゃうとね」
―どうすればいいんでしょう。
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