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<カンパニー8歳、横山典弘41歳>「人馬一体になれて、俺はうれしかった」いまだ破られない最年長平地GⅠ勝利記録〜2009年天皇賞・秋〜

2023/10/28
今なお破られない、最年長平地GI勝利記録。豪脚の名牝ウオッカを打ち破った8歳の快速馬を見事なまでに操ったのは、当時41歳の横山典弘。栗東で再び輝く枯れない男が愛馬の背中を振り返る。

 横山典弘騎手が、幼少時から住み慣れた美浦を出て、滋賀県の栗東トレセンに拠点を移してからちょうど2年が経った。ルーティンに慣れ過ぎて、気持ちに刺激が足りないと感じていた時期で、文字通りの心機一転を図ったのだという。その行動を見た武豊騎手が「50歳を超えて、まだこれからと環境を変えてまで頑張ろうという気持ちと行動力が素晴らしいじゃないですか」と、一つ先輩の競馬学校2期生に惜しみないリスペクトを表明した。

 当初は短期的に来ているものと思い込んでいた人も多かったのだが、1カ月が過ぎ、2カ月が過ぎても、横山は生き生きとした表情をますます輝かせて栗東に居続けた。ようやくその強固な意思を周囲も察したのだろう、調教騎乗を依頼する厩舎が日に日に増えていった。なにしろ、歴代3位の2929勝(10月20日時点)をあげ、GIを27勝、地方競馬のGI級でも6勝をマークしているレジェンド級の名手なのだ。その腕を放っておくのはもったいなさ過ぎる。美浦からお宝が舞い込んできてくれたのなら、喜んでその恩恵に与ろうと考えるのが、栗東らしい柔軟な考え方を持つ厩舎人たちで、横山もその雰囲気を心地よいと感じているのが伝わってくる。

 気がつけば、横山も55歳だ。競馬学校1期生('85年デビュー)の柴田善臣を最年長として、小牧太、熊沢重文に次ぐ、JRAで4番目の年長騎手となり、5番目に武豊がいるという位置関係。ちなみに最年長勝利記録は柴田善臣が保持しているが、最年長重賞勝利記録は横山が先日(9月9日、中山競馬場、紫苑S、GII=モリアーナ騎乗)書き換えた。55歳6カ月18日という重い数字を更新できるのは、現状では横山を含めた上位4人しかいない。

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