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《天覧競馬の1分55秒2》イクイノックスが天皇賞・秋で披露した“進化した天才“「名手の体内時計を狂わせた」<レコードを0.9秒更新>

2023/11/14
1分55秒2。居合わせた者すべてが目を疑うスーパーレコードは、「圧勝」という言葉では片づけられないほどのインパクトをもたらした。世界一たる実力を証明したこの馬に、もはや敵はいないのか――。

 掲示板に勝ち時計が表示されると、場内がドッと沸いた。ウイニングランと、天皇、皇后両陛下への馬上礼を終えた勝利騎手さえも、あまりに現実離れしたレコードタイムに驚きの声を上げた――。

 10月29日の第168回天皇賞・秋(東京芝2000m、3歳以上GI)は、11年ぶり、戦後3度目の天覧競馬となった。天皇賞最多勝記録を持ちながら、いまだ天覧競馬での勝利がない武豊が騎乗するドウデュースによる勝利も期待されたが、当日の第5レース終了後、武が騎乗馬に右太ももを蹴られて負傷。ドウデュースは戸崎圭太に乗り替わることになった。

 出走馬は11頭。天皇賞・秋が2000mに短縮された1984年以降最少となったのは、レーティング世界一を誇る昨年の覇者イクイノックスをはじめとする超豪華メンバーに恐れをなし、戦いを避けた陣営が多かったからだろう。

 7万7870人の観客が見守るなか、天皇賞のゲートが開いた。

 クリストフ・ルメールが騎乗する1番人気のイクイノックスは、7番枠から速いスタートを切った。

 5番のガイアフォースと、外の10番枠から出たジャックドールがイクイノックスを両側からかわして行く。2コーナーを回りながらジャックドールがハナに立ち、2馬身ほどのリードを取って向正面へ。

 2番手はガイアフォース、その2馬身ほど後ろの3番手にイクイノックスがいた。

超ハイペースも「イクイノックスにとっては普通」。

 逃げるジャックドールが3コーナーに進入し、前半1000mを57秒7で通過した。実況アナウンスが通過タイムを告げ、ターフビジョンに数字が表示されるとスタンドから歓声が上がった。

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photograph by Keiji Ishikawa

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