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[オカンに感謝の15代目王者]ミルクボーイ「僕らは今も昔もおもろいまま」

2022/12/03
左から駒場孝、内海崇。大阪芸術大の落語研究会で、1986年大阪府生まれの駒場が同級生の内海('85年兵庫県生まれ)を誘い、'07年コンビ結成。'19年、決勝で史上最高得点(681点)を記録し、最終決戦では審査員7人中6票を得て15代目M-1王者に輝く。'22年4月、上方漫才大賞受賞
2019年の決勝翌日、あの“腕組んでる虎の顔”がパッケージの商品は、全国で飛ぶように売れた――。大会史上最高得点を記録した『コーンフレーク』には爆発的な笑いを生み出す、ある転機があったという。

 たまらず音声スタッフがセンターマイクの音量を絞ったという。

「僕らのマイクに、お客さんの笑い声が入っちゃうので。絞ってなかったら、もっとウケてる感じがテレビ越しにも伝わってたと思いますよ」

 そうどこか誇らしげに語るのは、ミルクボーイの内海崇だ。トレードマークは角刈りと、派手なダブルのスーツ。いかにも浪花の漫才師といった風情だ。

 2019年12月22日。新型コロナの流行前、現在のところ、客を目一杯入れた状態での最後のM-1決勝は、エンディングで審査員の松本人志が「過去最高では」とつぶやくなど、ファンの間では「神回」と呼ばれるほどの盛り上がりを見せた。その中心にいたのが1本目の『コーンフレーク』と呼ばれるネタで大会史上最高となる681点をマークしたミルクボーイだった。

 近年、これほどまでに予選から圧倒的な強さを見せ付けて頂点まで駆け上がったコンビは他にいない。あくまで噂だが、関係者によれば、ミルクボーイは1回戦から準決勝まですべて1位通過だったとか。それが本当だったとしても驚きはない。

 お笑いの賞レースは、順番が大事だと言われる。トップバッターは極端に不利で、会場の空気が温まり始める中盤以降の方が点数は出やすい傾向にある。

 だが、M-1決勝に3度出場した経験を持つゆにばーすの川瀬名人が、こんな風に話していたことがある。

「僕も順番が重要やって思ってたんですけどね。ミルクボーイさんを見て、考えが変わりましたね。あんときのミルクボーイ、1番だったからといって、負けてたと思います? 勝っとったでしょ」

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photograph by Takuya Sugiyama

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