高校最後の夏、県予選では決勝以外は全て無失点で勝ち抜いた横浜高校。しかし松坂のコンディションは上がらなかった。そんな中、甲子園初戦を迎える。
センバツで優勝投手となった松坂大輔はその1カ月後、春の関東大会でも格の違いを見せつけた。延長13回で19個の三振を奪った決勝の日大藤沢戦で、松坂は「火を噴くボールを投げていた」と言った。しかし、そのイメージが逆に落とし穴となる。
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最後の夏を前に、僕はあの関東大会で投げた(火を噴く)ボールのイメージを追って調子を崩してしまいました。投げた感覚は指先に残っているのに、どうやって投げたのかを思い出せない。実際に投げたんだから投げられるに決まってると意固地になってしまったんです。自分でボールを離すところが見えるくらい、腕が前に出てくる。低めからグッとホップして、それでもなお低めいっぱいに決まるストレート……自分の中にその感覚が残っていたからこそ、いつでも投げられると思ってしまいました。でも、そのボールを投げようとし過ぎた結果、それまでの感覚やバランスを失ってしまったのかもしれません。
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photograph by JIJI PRESS