#1049
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[巻頭インタビュー]イチロー「考える野球とは?」

2022/04/14
「僕にはこれ以上、情熱を注げるものはありません」現役を退いた後も野球を愛し、自らの経験や考えを惜しげもなく披露する。伝道師のごとく活動を続けるイチローが後輩たちに受け継いでほしいものとは?

――今日、イチローさんが着ているのは「ちゃんとやってよ」のTシャツです。思えば一昨年の冬、初めて対峙した高校生が智辯和歌山の選手たちでした。そのとき、イチローさんが残したのがこの言葉です。その後、智辯和歌山は夏の甲子園で優勝、まさしく「ちゃんと」やりましたね。

「普段、中谷(仁)監督から『自分で考えなさい』という指導を受けて育った智辯和歌山の生徒たちですから、僕が想像しているものから、さらに深いものまで、さまざまな解釈をしていると思います。しかし目標として掲げていた甲子園での優勝を本当に達成するとは……恐れ入りました」

――優勝してから智辯和歌山の選手たちと話をすることはできましたか。

「昨オフ、みんなからの手紙をもらったんです。届いた日、食事をしてお酒も飲んで、いい気分で部屋に戻って読んだらボロボロ泣けてきた。そこにはみんなの想いが詰まっていて……グラウンドで時間を共有しているときにも感じることですが、手紙に記されていたのは、野球がうまくなりたいという想いだけではなかった。もっと上のレベルの野球選手を目指してはいるんだけど、決してそれだけじゃない。この先、生きていく上で、あの3日間を持っていきます、そんなニュアンスが感じられてすごく嬉しかった」

――彼らの意識の高さは、イチローさんが彼らに伝授した“幻のプレー”(*注)を現実のものとしたところからも見て取れます。

 *幻のプレー……ツーアウト一、二塁、もしくは一、三塁、満塁で、サードかショートにゴロが転がったとき、守備側は通常、セカンドで一塁ランナーの封殺を狙う。そこで一塁ランナーは二塁へ滑り込まず、あえて二塁ベースを駆け抜けることによって二塁での封殺を防ごうというプレー。もしセーフになれば、その直後に挟まれてタッチアウトになったとしても、二塁もしくは三塁ランナーのホームインが認められて1点が入る。

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photograph by Takuya Sugiyama

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