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《編成部長とスカウトの貴重証言》「ドラフト上位に比べて期待度は…」“ドラ9”山本祐大と“ドラ6”梶原昂希が明かしたベイスターズで「這い上がる」方法

2025/04/05
左から山本祐大、梶原昂希
ロマンあふれるパワーヒッターと、強肩を武器にエースを支える扇の要。彼らはドラフト最下位指名ながら、なぜ主力メンバーの一員になれたのか。下剋上の裏には胸に秘めた野望と、フロントの巧みなスカウト戦略が存在した。(原題:[ドラフト下位からの逆襲]梶原昂希&山本祐大「僕はこうして這い上がる」)

 2021年10月11日。梶原昂希は、モニターに瞳を凝らして自身の運命を見定めていた。時はコロナ禍。がらんとした教室には、詰めかけた報道陣も、野球部の仲間たちの姿もない。

 1位指名を巡る抽選が終わると、2位以降はウェーバー方式で粛々と指名が進んでいく。1時間半くらい経過しただろうか。

「梶原昂希 外野手 神奈川大学」

 その名が呼ばれたのは横浜DeNAベイスターズの6巡目。支配下としてはチーム最下位での指名だった。

「受験の合格発表みたいな心境でした。嬉しいというより、安心したという思いが強かった。プロに引っかかった、って……」

 身長189cmの体躯にパワーとスピードを搭載した左打者は、“素材型”の魅力的な選手だった。大学の時点で打球速度は160kmを超え、持ち味のフルスイングから柳田悠岐(ソフトバンク)に準えて「神奈川のギータ」と呼ばれたこともあった。

 しかし、高い能力の一方で“粗さ”もあった。三振か、ホームランか。細かい打撃技術は未熟で、守備や走塁にもまだ穴があった。梶原の自己評価はこうだ。

「調子の波も激しいし、良いところもあるけれど穴もでっかい。スカウトさんにとっては結構勇気がいる指名だったんじゃないかな、って自分でも思います(笑)」

SANKEI SHIMBUN
SANKEI SHIMBUN

 他球団のスカウトも注目していた好素材が6位まで残っていたのは、その“粗さ”をどう判断するか迷ったからだろう。まさに、三振か、ホームランか。ベイスターズは“ホームラン”に賭けたのだ。

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photograph by Nanae Suzuki / Takuya Sugiyama

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