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<現役最終戦に秘めた思い(26)>村上茉愛「自分ではなく、誰かのために」

2022/02/02
有観客で開催された世界体操は約2500人の観衆が見守った。村上は'17年大会以来2度目の金メダル獲得
東京五輪で日本女子体操・個人種目初のメダル獲得。栄誉を胸に、そこで戦い終えてもよかったかもしれない。しかし、銅メダリストにはやり残したことがあった。

2021.10.24
世界体操競技選手権
成績
平均台 3位(13.733点)
ゆか 1位(14.066点)

   ◇

 北九州の空はよく晴れていた。秋の乾いた空気が清々しかった。

 2021年10月24日、世界体操競技選手権・種目別決勝の朝、村上茉愛はタクシーで総合体育館へと向かっていた。市内から15分の道すがら、ずっと窓から外を眺めていた。

《景色を眺めながら、今日が最後なんだなと考えていました。朝起きて試合会場に向かうことも、ユニホームを着ることも、試合用のメイクをすることも、すべてこれが最後なんだと。でも名残惜しいということではなく、ここまでよくやってきたなあという気持ちでした》

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photograph by Asami Enomoto
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