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【徹底取材】タイガース・佐藤輝明はなぜ2025年に覚醒したのか?「打席の中で強弱を」「連日ユニフォームを泥だらけに…」《証言:小谷野栄一、和田豊ら》

2025/09/11
虎党からすれば「ようやく」の姿かもしれない。2位以下を大きく引き離すペースで本塁打を量産し、相手投手を打ち砕く主砲。その飛躍の転機とは。“覚醒”の経験者とコーチ陣の証言から答えを探る。(原題:[覚醒の軌跡を辿る]佐藤輝明「比類なき頂への道」)

 初めてのバッティング練習を見て、藤本敦士は笑いが込み上げてきたという。

「ぼくはバッティングコーチじゃなかったんで、あのときの彼がどんなことをやっていたかはわからないんですけど、ボールを遠くに運ぶっていう天性は物凄く感じましたね。なんであんな軽く打って、あそこまで飛ぶんやって。その理屈がぼくにはわかりませんでした(笑)」

 なにしろ、ドラフトで4球団が競合した大物ルーキーである。もとより、ただ者であるはずもない。それでも、プロ入り1年目の佐藤輝明は、阪神、ヤクルトで13年間の現役生活を送り、コーチとしても7年目を迎えようとしていた藤本の舌を巻かせた。

 ただ、度肝を抜く、というほどではなかった。

「身体はできてる。パワーもある。ただ、見たこともないような逸材だったかと聞かれると、う~ん、そこまでではなかったかな。あくまでぼくの感想ですけど、まだプロとしての体力面みたいなのは全然ないな、と。プロで143試合戦える体力はない。ぼくみたいな小さいのと違って、大きな身体を動かすには大きな出力がいる。そういうのは、まだないなと。それはすごい感じました」

 プロとしての一歩目を踏み出したばかりの選手に対する評価、印象としては、いささか厳しすぎるかもしれない。とはいえ、藤本には藤本なりの、スラッガーに対する見方が厳しくなってしまう理由があった。

「ぼくら、松井秀喜さん見てますから。ぼくの印象に残ってる松井さんと比べたら、当時の輝明はまだまだなのかな、と」

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photograph by Hideki Sugiyama

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