MVP3度獲得のトラウト、共に本塁打を重ねるウォルシュ、女房役のスズキ、同級生で仲良しのフレッチャー。日々一緒に戦う仲間だからこそ知っている、成績を超えた選手としての凄みとは。
最初の衝撃は3月3日のレンジャーズとのオープン戦だった。この試合、大谷はキャンプ地ディアブロ・スタジアムのバックスクリーン上を越えていく超特大本塁打を放った。飛距離468フィート(約143m)。ベンチではマドン監督が、トラウトが、プホルスが、レンドンが、百戦錬磨の強者たちが、信じられないといった表情を見せていた。この春、大谷がオープン戦で放った本塁打は自身最多の5本。中堅から逆方向へすべてを叩き込み、MVP3度の主砲マイク・トラウトは今季の活躍をこう予言した。
「彼は球場のどこにでも本塁打を打てる能力がある。飛距離も半端ない。正気の沙汰とは思えないよ。確実に最高の打者と呼んでいい。何か特別なことが起こりそうな予感がする」
シーズン初先発となった4月4日のホワイトソックス戦では「2番・投手」で初の投打同時出場。最速は101.1マイル(約163km)を計測し、100マイル越えは92球中9球にも及んだ。それでいて、落差が大きい90マイル(約145km)を超える“魔球スプリット”もある。5回途中で7奪三振。打っても1回の初球、凄まじい打球音と共に右中間スタンドへ451フィート(約137m)の本塁打を叩き込んだ。
今季、米国では大谷を表現するいくつもの言葉が並んでいる。「Unreal」(非現実的)、「Different Animal」(異次元の動物)、「Different Breed」(別格の選手)、「Unicorn」(想像上の生き物)等々。トラウトはそれも当然と言った。
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photograph by Nanae Suzuki