カリフォルニア州アナハイムにあるエンゼルスのホーム球場、エンゼルスタジアム。8月27日、西日の眩しさが和らいだ夕方6時半過ぎに始まったゲームは1回裏、先頭打者、大谷翔平の名前がコールされると大きな歓声が起こる。口笛を吹く男性や、立ち上がって拍手をする老夫婦、ドリンクを片手に右腕を何度も突き上げて「ショーヘイ！」と叫ぶ女性のすぐそばで、子供が興奮して飛び跳ねている。観客が奏でる声援が協和音となって心地よく球場に響き渡る。それはこの時点でメジャー最多の本塁打を放っているスーパースターに寄せられたファンからの期待の大きさを示していた。
この日、大谷と同い年になったフェデリコ・フェリックスさんは「オオタニ！ 今日は僕の27歳の誕生日。どうか僕のボールにサインして、良い1日にして下さい」と英語で記されたボードを持ってスタジアムにやってきた。エンゼルスがワールドシリーズを制覇した2002年からのファンで「たとえ0対10で負けていても大谷がホームランを打てばスタンドはまるで勝ったかのような盛り上がりを見せる。それにドジャースファンもヤンキースファンも関係なく、みんなが大谷を好きなんだ。僕の妹も熱烈なドジャースファンだけど、大谷が好きでエンゼルスの試合は一緒に来る」と顔をほころばせた。
大谷のユニフォームを着て試合前の練習から見ていたのはスティーブ・スミスさんと妻のジェシカさん。実はスティーブさん、5月6日のレイズ戦で大谷が打った今季10号のホームランボールを見事キャッチ。今は家の暖炉の上に飾ってあるという。ジェシカさんは「大谷には、周りからどんな否定的なことを言われようとも気にしない強さがある。そんなことに目もくれず黙々と野球をしている」と大谷の芯の強さを評価。スティーブさんも「もし大谷からあのボールと何かを交換しようと言われたら、14歳の息子にいろいろ話して欲しいと答える。息子の人生に大きく影響するようなことを言ってくれそうだから」と、子供のお手本としての大谷に魅力を感じているようだ。
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