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カール・ルイスが舞い降りた「史上最高の世界陸上」秘話。~1991年の熱狂~

2021/07/27
1991年8月25日、男子100m決勝。勝利を確信したカール・ルイスは両手を広げ、天を仰ぎながらゴールした
その夜、かのスーパースターが魅せた劇的なパフォーマンスは、もはや陸上競技を超えたエンターテインメントだったのかもしれない。スポーツ中継を切り拓いてきたテレビマンが心血を注ぎ、スプリンター心理を知悉するスターターが鳴らした合図の号砲。“史上最高の舞台”を演出した男たちが、世界記録誕生の裏側を語る。

「NEW W R」。

 モニターの右下に世界記録を意味するアルファベットが明滅していた。

「元が取れた!」

 中継を担当する日本テレビのチーフプロデューサー室。そこに陣取っていた坂田信久の口から思わず本音がこぼれた。

 1991年8月25日、午後7時過ぎ。国立競技場で開催されていた世界陸上競技選手権大会2日目、男子100m決勝で、当時、世界的なスーパースターだったカール・ルイスが9秒86の世界新記録を打ち立てた。人類が初めて9秒8台に突入した歴史的瞬間でもあった。

 50歳で放送チームのトップに立っていた坂田が回想する。

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photograph by AFLO

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