EURO2000を制覇し2度目のヨーロッパチャンピオンに輝いたフランス代表は、同国サッカー史上最強チームのひとつである。このチームこそ最強と推す声も高い。'98年フランスW杯で初優勝したチームが、ほぼそのまま2年の齢を重ね、チームも選手個々も成熟した。'98年は20歳の若手だったティエリー・アンリとダビド・トレゼゲが中核に成長し、W杯ではナイーブさも見せたジネディーヌ・ジダンは全盛期を迎えようとしていた。エメ・ジャケの後を継いだロジェ・ルメールが率いたのは、フランスサッカー史上でも最も攻守のバランスが取れたチームだった。
エマニュエル・プティもそのフランス代表のひとりである。ブラジルとのW杯決勝で3点目のゴールを決めたプティも、このとき29歳。彼にとって最後の大きな国際大会だった。現在はテレビのコメンテーターを務める傍ら執筆活動にも勤しみ、さらには最先端のテクノロジーを用いた新しいトレーニング方法の確立を目指すなど、精力的に活動を続けている。
そのプティが、2000年のフランス代表を語った。自信と連帯感に溢れていたチームについて、名実ともに世界最高の選手となったジダンについて、実は病に悩まされていた自身について、そしてEURO2020に、同じく世界チャンピオンとして臨む現在の代表についても……。
――EURO2000にあなたとチームはどんな状態で臨みましたか?
「世界チャンピオンとして迎えた大会で、望みはひとつしかなかった。それはW杯からEUROの順番でタイトルを獲得した史上初のチームになることだ(逆の順番では1972年と'74年の西ドイツが達成)。
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