プロ野球の最前線を走り続けてきた本書の著者・落合博満が、日本のスポーツ界に跋扈してきた根性論や精神修養に対し、ずばり異議を申し立てる。
「心技体」ではなく、大切な順番は「体技心」。
さらに明言する――体づくりの核心は食にあり。ただし、誰にも身近な食べ物だからこそ、落とし穴は多い。
「一番問題なのは、食べることも仕事だという認識はあるものの、食事や睡眠は日常生活において当たり前過ぎる行動であり、その重要性を本質的に理解していないことではないか」
きわめて鋭い洞察である。というのも、アスリートにとって〈運動・栄養・休息〉は等しく重要な三大要素だが、栄養(食事)と休息(睡眠)は日常の領域と重なるからこそ客観視しにくく、冷静に捉えようとすれば、雑多な情報や数字に翻弄されがち。現代社会のワナを理解したうえで、他者を否定したり自分の流儀を押しつけたりせず、みずからの内面と照らし合わせながら思考を進めていく。
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