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『ヒトラーのオリンピックに挑んだ若者たち ボートに託した夢』戦雲下の五輪に刻まれたボートに懸ける青春の記録。

2020/01/16

 1936(昭和11)年のベルリン大会は、戦雲立ち込める時代下にあったが、参加した若者たちにはまがいなき青春を刻んだオリンピックだった。本書は、ボート競技のアメリカ代表、ワシントン大学クルーの濃密な日々を描いたノンフィクション作品である。

 当時、ボートは人気競技だった。アメリカ国内の強豪は東部の名門大学であったが、北西部シアトルにあるワシントン大学が台頭し、代表に選ばれる。名門校との違いは、部員たちの多くが農民や漁民や樵きこりの息子たちであったことだ。

 ジョー・ランツは、幼くして母を失い、やがて「捨て子」同然の身の上となる。鮭の密漁、木の伐採、土木工事……あらゆる仕事に就く。学生時代も古びたセーター一枚で過ごす苦学生だった。

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photograph by Sports Graphic Number

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