1940(昭和15)年の第12回オリンピックの東京開催が決まったのは、この4年前、ベルリン大会時のIOC総会においてである。日本中がわき立つ朗報であったが、内外ともに難問が山積し、やがて「返上」を余儀なくされる。
著者は長くスポーツ報道にたずさわった元NHKの記者。本書は返上劇の迷走を追ったものであるが、当時の資料や証言を丹念にたどって、政治に翻弄された幻の五輪を描き出している。
五輪誘致を言い出したのは東京市で、「紀元二千六百年」記念をお題目とした。大日本体育協会(体協)とともに構想を具体化させていくが、組織や施設をめぐる両者の「反目」が続いた。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Sports Graphic Number