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【動画】「先に行くも後に戻るも、地獄だなって」Honda・森凪也が語る日本代表への複雑な思いと5000m“大迫傑”超えの決意「12分台は自分が出す」《後編》
だが、順風満帆な道を歩んできたわけではない。中央大学では思うような結果を残せず、競技を辞めることも考えたという。だが、Hondaでブレイクを果たし、5000m12分台を視野にさらなるレベルアップを目論んでいる。インタビューは合計60分弱、“最強ランナー”にじっくりと話を聞いた。《インタビューは前後編の2本立て。前編はこちら》
高校時代から抱き続けてきた日本代表ユニフォームを着るという夢。どこか遠いもののように感じていたというが、昨年のアジア選手権と世界陸上、森凪也は5000mでその夢を現実のものにした。

喜びはさぞかし大きかったのでは、と思いきや、その胸中には不思議な感情が湧いたという。
「進む先もかなり厳しい道だし、かといって、戻ったとしても、そんなに楽な未来はない。“先に行くも後に戻るも、地獄だな”って思ったんです。もちろん日本代表になってうれしかったんですけど、一発目の感想はこっちでした」
そもそも、念願の日本代表になったにもかかわらず、どこか現実味のない出来事のように感じている自分がいた。それは世界陸上で自分の出番の前日を迎えても、変わらなかった。
「久保凛ちゃんが走っているのを見て、『明日は俺が走るのか……嘘だろ』と思っていて、まだ現実を受け入れていなかったんですよ。日本代表はいわば“叶わない系の目標”みたいに思っていたので、いつの間にか夢の舞台に瞬間移動したかのように感じていました」
森がそう感じたのも無理はない。今でこそ、飛ぶ鳥を落とす勢いを示しているが、不遇な時期も長くあったのだから。実業団のHondaに進んだものの、「本当に3年でクビになると思っていた」。ところが、その3年目にブレイクし、4年目には日本代表まで上り詰めていく。森が“瞬間移動”という言葉を口にしたように、遅咲きのシンデレラボーイとでも言うべき成長曲線を描いてきたのだ。
だが、現在地点は、森にとっての到達点ではない。
「心には先に進める余力がありますし、体も絶対にもっといいパフォーマンスができると信じている。ハードなことをやり続けるのはなかなかしんどいですけど、ここで一旦区切りを付けるというよりも、先に進もうと決めました」
つまり、予選で敗退した世界陸上を終えて“先に進む地獄”を選択したというわけだ。
9月のアジア大会での優勝も大きな目標だが、森が次なるターゲットに見据えるのは、11年も破られずにいる5000mの日本記録更新だ。この10年、大迫傑が持つ13分08秒40の日本記録に多くの選手が挑んできたが、いまだ塗り替える選手は現れていない。森は今年5月にマークした13分14秒18が自己ベスト。日本記録とはまだ約6秒もの開きがあるが、決して不可能なこととは考えていない。
インタビューでは改めて気づく大迫傑の先進性、そして自らのコンディショニングやピーキングの過程についても語ってくれている。

今回の取材では、ブレイクのきっかけとなったトレーニングの具体的な内容についても詳しく話をしてくれたが、シューズやスパイクについても確固とした考え方を持っていた。森がレースで履くスパイクは、NIKEの「ドラゴンフライ2エリート」だ。「反発がかなり強い」のがお気に入りのポイントと言う。
「でも、その利点、反発力をレースの本番で活かすために練習ではあまり着用しません。レース直前のポイント練習で履くくらい。勝負シューズのドラゴンフライ2エリートは本番に取っておく、という感覚ですね」
他の場面での履き分けも緻密だ。トラック練習では、ドラゴンフライ2とストリークフライ2、テンポ走ではヴェイパーフライ4、ジョグではペガサス42やボメロ18といった具合だ。足への負担、そして感覚を重視するランナーの戦略の一端と言っていい。この点も動画内では詳細に解説してくれた。
5000m日本記録「大迫さんが…」
インタビューは前後編の2本立て。この後編では前編を補足する形で、以下のようなトピックについて語ってくれた。
- 「進むも地獄。戻るも地獄」を乗り越えた末の哲学
- ピーキングとコンディショニングの極意
- 国内、アジアでの立ち位置とライバル
- レース前に行うイメージトレーニングとは?
- 「余裕度がアップした」ラストスパート無双の理由
- 5000m日本記録が長らく更新されていない理由は「大迫さんが…」
- 箱根とニューイヤーで感じる駅伝の難しさと面白さ
森の口調からは、率直さが感じられた。迷い、苦しみながらも辿り着いた現在の自分自身へ確かな手応えを感じているかだろう。各メディアとの合同取材を収めた前編40分弱、そして個別インタビューを収めたこの16分強の後編をご覧いただければ、日本長距離界「最強ランナー」の素顔が伝わるはずだ。
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