「常勝軍団」と「安定経営」を誇っても鹿島アントラーズから危機感が消え去ることはない。ホームタウン5市の人口は28万人に満たない茨城の地方クラブ。タッチできる人の数も資金力も限られる。Jリーグへの加盟申請時、弱小チームでスタジアムもなく「99.9999%無理」と言われた過去からスタートして以来、危機感発信のチャレンジ精神がクラブの基盤となってきた。
今夏、鹿島の経営権が日本製鉄から'17年以降スポンサーを務めるフリマアプリ大手のメルカリに移った。これもJリーグが共存から競争時代に入った危機感ゆえ。クラブ主導で新たな親会社を探し、手を挙げていたメルカリを自分たちで選んだ。交渉にあたった鈴木秀樹取締役は「アントラーズに対する理解、愛情が一番あったから」と打ち明ける。そして中長期的な戦略にテクノロジーは欠かせないとの判断もあった。
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photograph by KYODO