【ブレード研磨士】
フィギュアスケーターが自らの勝負の舞台と接するのは、スケート靴に取り付けた、厚さたった数㎜のブレードのみ。だからこそ、細かい要望を満たして不安なく滑れるよう、選手は信頼する研磨士にこの鋼鉄の仕上げを任せている。
フィギュアスケーターが自らの勝負の舞台と接するのは、スケート靴に取り付けた、厚さたった数㎜のブレードのみ。だからこそ、細かい要望を満たして不安なく滑れるよう、選手は信頼する研磨士にこの鋼鉄の仕上げを任せている。
フィギュアスケートの世界において、氷のリンクはコンクリートにたとえられる。ジャンプが成功すれば喝采を浴びるが、もしうまく着氷できなければ体が叩きつけられて激痛をともなう。そんな明と暗を分けるのが、厚さ3~4mmの鉄製のブレードだ。
元スケート選手の櫻井公貴は、ブレードの研磨士として、その重要さと繊細さに向き合っている。
「選手って氷に乗った瞬間、ご機嫌になるか、不機嫌になるかが決まるんですよ。それくらいブレードのわずかな違いで、滑る感覚が変わるんです」
櫻井が初めてブレードを削ったのは、まだ選手として活躍中の大学生のときだった。日本フィギュア界のブレード研磨の第一人者で、自らのスケートコーチでもあった坂田清治の店でアルバイトを始めたからだ。
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photograph by photographs by Shinya Kizaki