登場以来66勝1敗と無敵を誇ってきた全仏で、ナダルは'15年、'16年と優勝から遠ざかった。ファンの多くが時代の終焉を確信するなか、赤土の王は帰還した。郷里の英雄、モヤとともに。
始まりは、1本の電話だった――。
2016年12月。IPTL(新興の国際大会)に“レジェンドプレーヤー”として参戦すべく東京を訪れていたカルロス・モヤは、携帯から聞こえてきたよく知る声の提案に、驚きを隠せなかったという。
声の主は、トニー・ナダル。ラファエル・ナダルの叔父にして、彼の長年のコーチである。
「ラファエルのチームに、コーチとして加わってほしい」
トニーはモヤに、そう伝えた。
ナダルより10歳年長のモヤは、元世界1位で1998年全仏オープンの優勝者。ナダルと同じマヨルカ島の出身であり、ナダルにとっては、郷里の英雄的存在だ。
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photograph by Hiromasa Mano