接触による失格処分から一転、手にした日本競歩初の五輪メダル。残り1kmからの“強気な仕掛け”が、勝負の決め手となった――。
カナダの抗議で一時は失格となりながらも手にした銅メダル。それでも荒井広宙は穏やかな表情を崩さず、明るく笑った。
「ゴールした時は実感がわかなくて……。『本当は去年と同じ4位じゃないのかな』と思ったくらいでした」
8月19日に行われた50km競歩。メダルを期待されていたのは、昨年の世界選手権3位の谷井孝行だった。だが「6月から動きが噛み合わなくて不安だった」という谷井は22km過ぎで遅れた。ひとり残った世界選手権4位の荒井は「去年の谷井さんの世界選手権3位で競歩が注目もされてきている中、ただでは終われない」と腹を括った。50kmはメダルを含めた複数入賞を期待されていたからだ。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by KYODO