ユーロの序盤戦で世界の報道番組のトップを飾ったのは、ピッチの中のプレーよりも、その外で繰り広げられた各国フーリガンの悪行の数々だった。
開幕前はテロばかりが警戒されたものの、いざ始まってみるとフランスが目にしたのは、テロ行為に近いフーリガニズムだ。警察、警備会社、憲兵など、総勢9万人以上という過去にはない規模の警備で大会を迎えたものの、暴徒化したファンを抑えられず、開幕から10日経った時点で逮捕者は557人となっている。
中でもロシアの訓練された組織的フーリガンの姿は見るものを震えあがらせた。マルセイユの路上で繰り広げられたイングランドサポーターとの激突は戦地を思わせるそれで、逮捕者と国外追放者が続出。ロシア・フーリガンのひとりは「自分たちが本物のフーリガンだということを世間に分からせたかった」と語っており、彼らはそもそもサッカーを見にやってきたファンではなかったのである。
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