せがれも王子だ。誰だって自分の息子はかわいい。だから思う。この父親はどうなってしまうのだろう。
辰吉丈一郎。かつてプロボクシングの世界バンタム級チャンピオン。ストリートファイトの像もよぎる闘争心と、ストリートスマート(路地裏の級長)の思慮深さで難敵を仕留めた。
その次男、寿以輝が7月20日、プロ2戦目となるバンタム級4回戦を2回KOで制した。対戦相手の岡村直樹は市役所勤務で、そこまで1勝3敗、「息子」の勝利に不思議はなかった。
父、丈一郎はボクシングを愛している。そんなの当たり前ではないか、と表現の拙さを叱られそうだが、ラブの濃度と密度は「大好きです」の次元にない。それどころか「人生そのもの」の範疇にも収まらない。もはやタツヨシジョウイチロウという生命体と同化している。
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photograph by KYODO