真夏の甲子園、灼けるような土と芝の上、ひとりの高校生が躍動した。
オコエ瑠偉。関東第一高校の誇る中堅手である。父親はアフリカ大陸のナイジェリア出身とプロフィールにある。8月11日、富山の高岡商業高校と対戦、単独イニング2三塁打を含む3安打4打点の活躍を遂げた。
担当のスポーツ記者は、さっそく感嘆を言葉に換えなくてはならない。それが職責だからだ。詩人ではない。天から語彙の雫の降るのをいつまでも待てない。締め切りとの格闘。キーボードをせわしく叩く指は、つい、倉庫に積まれた古びたイメージに頼る。
サバンナ。本能。味方まで獲物のように。飢えたオコエが。プロ野球のスカウトの発言で「野獣のよう」や「ヒョウみたい」。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Hideki Sugiyama