ワールドグランプリでは過去最高の2位。新戦術はセンセーションを巻き起こした。9月23日に開幕した世界選手権に向けて、主将は確かな手応えを掴んでいる。
世界選手権に向けた直前合宿。練習を終えた体育館に、ユニフォーム姿で木村沙織が現れた。
にこやかな表情で、右脛を指差す。見れば、大きなアザができていた。
直前に行われていたワールドグランプリで、誰かと交錯した時か。それとも、ディグ練習の時か。理由を尋ねると、笑いながら、あっけらかんと答えた。
「喋りながら歩いていたら、イスがあるのに気づかなくて。思いっきりガツン、とぶつけちゃったんです。バレーじゃないところでアザをつくるって、相当カッコ悪いですよね」
東京・有明コロシアムで8月20日から24日までの5日間、6カ国総当たりで順位を決めるワールドグランプリファイナルが開催され、日本チームは、史上最高順位の2位という好成績を残した。
結果もさることながら、今大会、注目を集めたのは眞鍋政義監督が「ハイブリッド6」と名づけた新戦術だ。
聞けば、コートに入る6人の力を掛け合わせ、混ぜ合わせてプラスに機能させる、という意味が込められているらしい。
「初めて聞いた時の反応は『おっ』とか『何それ?』ではなく、『ふ~ん』みたいな感じでしたね(笑)。6人乗りのハイブリッド車に、私たちが6人で乗っていたら、ホントに『ハイブリッド6』だなぁとか、そう考えると面白いですけどね(笑)」
リラックスした表情で、日本代表として初めて手にした銀メダルと、新戦術について、木村はゆっくりと語り始めた。
ファイナルラウンドに先立って、7月に開幕した予選ラウンドではトルコ、ロシア、アメリカ、イタリア、中国に5連敗スタート。決して順調な幕開けではなかった。
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photograph by Takahisa Hirano