日本の長所のはずだった2人。だが初戦で力を発揮出来ず敗れると、最後まで機能することなく終わった。一体、何が起こっていたのか。
左で崩して、右で決める。
長友佑都と香川真司の“ビッグクラブコンビ”が左サイドをこじ開け、右の岡崎慎司がモノにする。それがザックジャパンの攻撃の生命線だった。ストロングポイントの左が輝くことが、日本躍進の「絶対条件」であった。
だが、待っていたのは「左サイド封じ」。初戦のコートジボワール戦、日本のストロングポイントをウイークポイントにされた。
彼らのサイドから立て続けにクロスを送られ、わずか2分の間に2点を失った。香川も長友も、ぼう然と立ち尽くすしかなかった。
意気は軒昂から消沈に変わった。
香川は3試合でノーゴールに終わり、長友も攻撃で結果を残せずに初戦の“後遺症”を引きずった形になってしまった。輝きが戻らなかったコートジボワール戦からの10日間。彼らはもがき、苦しんだ―─。
「点を奪ったスタジアムというのは常に覚えている。でも負けている場所でもあるので、しっかりと準備をして、攻守においてチームとして戦っていかないといけない」
6月14日、レシフェ。
香川にとっては1年前、コンフェデレーションズカップのイタリア戦でゴールを挙げ、敗れながらもマンオブザマッチに選出されているゲンのいい場所でもある。
雨が降り、湿度は77%に上昇。1年前より蒸し暑さを感じさせるなか、香川は長友に声を掛けてからピッチに飛び出していった。
前半16分、長友がスローインで香川からリターンを受け、本田圭佑に渡して先制ゴールをアシストした。左サイドから試合が動いた。
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photograph by Takuya Sugiyama/JMPA